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ラ・ジャポネーズ

『ラ・ジャポネーズ』(仏: La Japonaise)は、フランスの画家クロード・モネによる、1876年の油彩画。当時フランスで大流行していたジャポニスムの影響を受けた作品として、最も知られる存在である。

作品 描かれているのは、日本の着物をまとった金髪の女性である。女性は重たく長い衣の中で、細い身体をねじって扇をかざし、唇に微笑を浮べている。背景には様々な色の日本の団扇が散りばめられている。手に持っている扇子には赤・白・青の三色があしらわれ、フランスの国旗を彷彿とさせる。

長崎巌は、女性が着用している着物は、江戸時代末期から明治時代初期の、歌舞伎衣裳または遊女の打掛であると推測している。こうした打掛は普通、小袖に帯を締めた上に着られたが、絵の女性は裸体または下着の上から、羽織る形で着用している。

生地は繻子か綸子で、刀を差した男を刺繡または刺繡を施したアップリケであしらっている。着物の上部には、紅葉らしき木が、これも刺繡で表現されている。

横山昭は、この打掛の柄は管見の限りどこにも出てこない「全く不思議な模様」であるとし、紅葉と武者という組合せから類推されるのは謡曲の『紅葉狩』であるが、この打掛が能の衣裳として使われたというのは「能と云う神聖な演劇の性格上到底考えられない」としている。だが、モネの言葉から「これが現実に存在したことは間違いあるまい」とし、花魁道中のために旦那衆が花魁へ着せた奇抜な衣裳であった可能性や、大芝居ではない、地芝居の衣裳であった可能性を検討している。

女性の人工的な笑みと金髪は、他の肖像画で描かれるカミーユの、「青ざめた病気がちの、しかし思慮深げで慎ましやか」という性質を取り除いており、既にカミーユではないとも言える。衣裳の重みや手触りのみならず、茣蓙の目、団扇の竹の筋、扇子の折り目といった細部の材質感にも非常にこだわって描かれている。馬渕明子は、「異国からくるものに対するフェティシズム、あるいはそれらのものの触覚的な感覚」に終始しているとし、一度こうしたものを対象にした以上、モネはその触覚を描き尽さずにいられなかったのではないか、と後年の本作品への自己評価とも照らして考察している。

1875
Oil on canvas
231.8 x 142.3cm
56.147
画像とテキストは Wikipedia, 2023 から提供

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Museum of Fine Arts
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