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首当てをつけた自画像

『首当てをつけた自画像』(くびあてをつけたじがぞう, 蘭: Zelfportret met halsberg, 独:

Selbstbildnis mit Halsberge, 英: Self Portrait with gorget)は、オランダ黄金時代の巨匠レンブラント・ファン・レインが1629年頃に制作した自画像である。油彩。レンブラントは40年のキャリアの中で40点を超える油彩の自画像を制作した。本作品は画家が故郷のライデンで制作した初期の肖像画の1つである。現在はニュルンベルクのゲルマン国立博物館に所蔵されている。また本作品のより有名なバージョンがデン・ハーグのマウリッツハイス美術館に所蔵されており、以前はこちらのバージョンがレンブラントの真筆画とされ、本作品はその複製と考えられていた。

作品 レンブラントは宮廷の騎士の衣装を身にまとった自身の姿を描いている。その姿は4分の3正面の半身像として描かれ、鑑賞者に対して自信に満ちた視線を向けている。黒のコートの上に金属製の首当てを身に着け、その下から細い白いシャツの襟を出して首当ての上で折っている。頭部の影になった左側の頬には貴族の男性の間で流行した愛嬌毛が垂れている。

若いレンブラントはこれらのファッションや直接的な視線により、自らを貴族であると主張している。そこには決して高貴な生まれではなかったレンブラントの社会的な野心が窺える。こうした傾向は特にレンブラントがライデンで制作した初期の自画像に見られる。本作品を含む衣装を着たレンブラントの自画像のいくつかは人物の表情や性格の表現を研究したトローニーを連想させる。宮廷衣装を身にまとったレンブラントの自画像の1つは、早くも1630年にイングランドのロイヤル・コレクションに加わっており、それらが販売および一般公開を目的として制作されたことを証明している。詩人であり、外交官としてイングランドに渡ったコンスタンティン・ホイヘンスはレンブラントを絵画の天才であると評価したが、同時にある種の傲慢さを持っていたと述べている。

技術的構造と様式の観点からライデン時代のレンブラントの絵画と対応していることが確認されている。画面右下にレンブラントが署名の代わりに記入したモノグラムの跡が残されている。

来歴 自画像はニュルンベルクの商人アントン・パウル・ハインライン(Anton Paul Heinlein, 1745年-1832年)に所有されていたことが知られている。ハインラインが死去した1832年に競売で売却され、美術収集家ヨハン・ヤーコブ・ハーテル(Johann Jacob Hertel, 1782年-1851年)が購入した。ハーテルは他にも風景画家ウィレム・ファン・ベンメルの『猟師が休んでいるイタリア風の川の風景』(Zuidelijk landschap met rustende jagers)やアラールト・ファン・エーフェルディンヘンの『滝の近くに小屋のある山の風景』(Berglandschap met hutten bij een waterval)、ヤン・クペツキーの『フルート奏者の肖像』(Porträt eines Flötisten)といった作品を所有していた。これらの絵画はハーテル死後の1862年にニュルンベルク市の所有となり、1875年から1877年以降、ゲルマン国立博物館に貸与されている。

c. 1629
Oil on oak panel
38.2 x 31.0cm
Q18655609
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