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マニフィカートの聖母

『マニフィカートの聖母』(マニフィカートのせいぼ、伊: Madonna del Magnificat)は、イタリアのルネサンス期の巨匠、サンドロ・ボッティチェッリによる円形(トンド)の絵画である。作品はまた、『5人の天使のいる聖母子』とも呼ばれる。聖母マリアが右手で「マニフィカート」と書き、ザクロを左手にし、2人の天使がマリアの膝の上の幼子イエス・キリストを戴冠しているのが見える。作品は現在、フィレンツェのウフィツィ美術館に所蔵されている。

歴史 絵画の来歴は不明であるが、ウフィツィ美術館により1784年に個人のコレクションから取得された。作品は、ピエトロ・レオポルト大公によって廃止された多くの修道院の1つに由来しているのかもしれない。本作の何点かの複製がルーヴル美術館、ニューヨークのモルガン・ライブラリーなどにある。ルーヴル美術館の複製では、聖母を戴冠する左端の天使が取り除かれ、左側の3人のうち最も背の高い天使が翼を大きく広げる余地が残されている。

概要 この作品は、2人の天使が戴冠した聖母マリア、流れるブロンドの髪を覆う薄いベール、肩に掛けられたビザンチン様式のスカーフを描いている。マリアは本の右側のページに「マニフィカート」の語の冒頭部分を書いている。左側のページはベネディクトゥス一部である。マリアが「マニフィカート」と書き込んでいる傍らで、幼いイエスはマリアの手を導きつつ、澄んだ青い空、またはおそらく母親を見上げ、そっと視線を戻す。マリアは左手にはザクロを持っている。人物は明るく穏やかな風景の前に置かれ、上縁部は天と地の間の隔たりを成している。左側では、3人の天使が「マニフィカート」の周りに集っており、お互いに深い内容の会話をしているように見える。

「マニフィカート」は「聖母マリアの歌」としても知られているカンティクム (讃美歌) で、ルカによる福音書(1:46-55)から引用されている。この説話では、マリアは洗礼者ヨハネを身ごもっている姉のエリザベトを訪ねている。ヨハネがエリザベトの子宮の中で動くとき、マリアはエリザベトの信仰を称賛する。ザカリアの歌としても知られるベネディクトゥスは、ルカの福音書(1:68-79 )から取られた別のカンティクムであり、息子の洗礼者ヨハネの割礼中にザカリアが口ずさんだ歌であった。

多くの美術史家は、マリアはピエロ・デ・メディチの妻、ルクレツィア・トルナブオーニで、本を持っている2人の天使は息子のロレンツォとジュリアーノの肖像画であると考えられると議論している。『画家・彫刻家・建築家列伝』の中で、ヴァザーリは次のように述べている。コジモ1世のクローク・ルームには、2人の非常に美しい横顔の女性頭部像があり、1つはロレンツォの兄弟でジュリアーノ・デ・メディチの愛人の肖像画であると言われている。もう1つは、ロレンツォの妻、マドンナ・ルクレツィア・トルナブオーニのものである。ただし、この肖像画を『マニフィカートの聖母』として明確に特定化するだけの信頼できる情報源はないため、この仮説はほとんど無視されている。聖母のモデルは不明であり、ボッティチェッリが生涯を通して描いた多くの一般的な聖母の人物の1つなのかもしれない。

1483
Tempera on panel
118.0 x 118.0cm
00188562
画像とテキストは Wikipedia, 2023 から提供

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ウフィツィ美術館
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